▶“ヤングケアラー”って?その実態は?

 最近、テレビのニュースや新聞などのメディアで、ヤングケアラーという言葉が取り上げられています。

 

法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされています。

近年こういった子どもたちが増えており、特に学齢期の子どもでは家事や介護を行なう弊害として、学力や社会性の獲得に支障をきたすことが懸念されています。

この記事では、ヤングケアラー問題の実態や課題について述べていきます。

 

【背景】

 ヤングケアラー増加の背景には、少子高齢化社会やひとり親世帯増加などの社会情勢があり、世帯内で家事・介護を担う人手が不足していることが原因とされています。

親が働きに出ている間、病期になった家族や幼い兄弟を子どもが世話をする家庭や、働けない家族に代わって家計を支えるために学生が労働をする家庭など、その形は様々です。

単に“家族思いの子ども”という認識では片づけらないものですが、ヤングケアラーには具体的にどんな問題があるのでしょうか。

 

【問題点と課題】

 先述した学力や社会性の獲得が阻害や、介護者自身の時間が制限されることで、進学や就職を断念せざるを得なくなってしまうといったケースが頻発しており、強く問題視されています。

2017年に総務省が実施した就業構造基本調査を基にしたデータでは、家族を介護している15~19歳は全国で約3万7100人にのぼると推計されています。

何故ここまで問題が深刻化してしまったのでしょうか。

 ヤングケアラー問題を解決するためにはいくつもの課題があります。ヤングケアラーに対する周囲の認識が不十分であること、事情を把握していても家庭内のプライバシーな問題であるため、周囲の大人(学校教員など)が干渉しにくいこともあり、社会全体の認知や支援する体制を整えることが大きな課題となっています。

また、ヤングケアラー自身にヤングケアラーである自覚がないという例も少なくありません。幼い頃から家事や介護を担う生活をしており、それが当たり前だと思っている子どもや、他人に相談しても解決できないと諦めている子どもも多く存在しており、社会制度の知識(申請方法など)の不足も相まって、支援を受けづらい状況にあると考えられています。

 こういった現状が社会に広く知れ渡り、ヤングケアラーは支援を受けやすい状態に、周囲の大人たちは支援をしやすい状態になることが望ましいと考えます。

 

【さいごに】

 今回の記事ではヤングケアラーについて述べさせていただきました。その実態や課題をひとりひとりが正しく認識し、我が国の将来を担う子どもたちから、進学や就職の可能性を奪うことのない社会を願っています。

 

参考文献:一般社団法人 日本ケアラー連盟,藤沢市 ケアを担う子ども(ヤングケアラー)についての調査,2017.6.