▶転倒は防げるのか|転倒要因から考える

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新型コロナウィルスの影響により、自宅にいる時間が多くなっている方も多いのではないでしょうか。外出自粛による、運動不足や活動量の低下に伴い、筋力低下、バランス機能の低下をきたし、転倒しやすくなると言われています。

また、転倒をきっかけに要介護状態になる可能性もあり今から予防しておくことが大切です。今回は、転倒の要因とそれに対する予防策についてお話します。

転倒は要介護の要因

「平成27年版 高齢社会白書(全体版)」によると、高齢者が「要介護」となる主な原因は、脳血管疾患(脳卒中)、認知症、高齢による衰弱と続き、「骨折・転倒」は全体の12.2%を占め、4番目の多さになっています。また、内閣府の「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(全体版)」によると、自宅内で転倒したことがある男性が6.8%なのに対し、女性は11.8%となっていて、男性よりも女性が転倒しやすいという結果になっています。転倒により動けない状態が長く続くと、歩行機能が衰え、「要介護」となる可能性があります。

転倒が原因で寝たきり状態に

若い人であれば転倒しても完治するのも早いですし大抵は治ります。しかし、高齢者にとって過度の安静は、筋力や身体機能の衰えを招き、症状を悪化させる要因にもなります。中でも転倒が原因で起こりやすい大腿骨の骨折は、回復して歩けるようになるまでに時間がかかるため、寝たきりになることも少なくありません。骨折や怪我がなかったとしても、転倒により自信を失ったり、自力で動くことに対して恐怖心を持ったりすると、体を動かさなくなり、筋力が次第に衰え始めて、身体機能の低下を招くこともあります。

 このように転倒は、高齢者の生活に大きく影響することがあるため、十分な対策を取る必要があります。

 高齢者の転倒で多い所は?

自宅の転倒は「庭」よりも「室内全般」が多いと言われています。「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(全体版)」によると、室内の転倒場所では「居間・茶の間・リビング」の割合が20.5%と最も多く、次いで「玄関・ホール・ポーチ」が17.4%、「階段」13.8%、「寝室」10.3%、「廊下」8.2%、「浴室」6.2%の順となっています。

屋内での転倒が多い理由としては、身体機能の低下によりカーペットや敷居などに足をつまづき転倒されることも多いようです。転倒をきっかけに要介護状態になることを避けるためには転倒予防対策が必要になります。

転倒予防について

転倒予防には

  1. 環境整備
  2. 身体作り

この2つが重要です。

1“転ばない”ための日常生活のポイント

住まいを転倒しにくい環境に整備する ・ メガネ、履物、杖など立って歩くための用具を適切に選ぶ ・ 適切な薬の服用に心掛けることです。

2「転倒予防」のポイントは、「転ばない」身体作り-転倒予防運動-

「転倒予防」のポイントは、「転ばない」身体 を作ることです。そのためには、「身体のバ ランスを保つ」ことと「立つ、歩く際に必要 な筋力を保っておく」ことが重要です。 下肢はたくさんの骨と関 節で構成され、多くの筋 肉が働いています。転倒予防に効果的な下肢の 運動を継続的に行うこと が大切です。

①スクワット②腿上げ③踵上げ

いずれも安全を確保した上で行ってください。(椅子の背もたれを持つなど)

この3つの運動を無理のない範囲で行ってください。ただし人それぞれ転倒する理由は異なります。より安全に過ごせるように環境面でのアドバイス、転びにくい身体を作るための指導など行いますので気軽に理学療法士に相談してください。