▶新型コロナ感染症 |マスコミが伝えない本当のこと

新型コロナウィルス感染症の流行は世界中に広がり、人々の死やウイルスへの感染に対する不安や恐怖を今も尚増悪させています。日本においても感染は拡大と縮小を繰り返し、先行きが見えないなか、行動の規制が強いられています。

 

年齢を問わず感染の可能性はあり、老若男女問わず、手洗い、消毒、マスクをつける、三密を回避して外出も自粛する。感染予防の為のこれらの行動は今では社会常識ともなっています。

 

TVのワイドショー等でも、様々なコメンテータや専門家が、口々にコロナ渦中でどのように感染予防しながら経済活動を止めずに生活していくかという議論はなされるものの、コロナ渦で高齢者の方がステイホームした先に待ち受けるリスクを丁寧に伝えている番組はあまりありません。

 

私達は介護保険事業を行っているので、地域高齢者の方よりも虚弱な高齢者の方に対してリハビリテーションサービスを提供しています。この方たちが「コロナが怖いから人と接しないようにする」と言ってリハビリテーション(活動機会)を自粛してしまったら、その先に待っているのは運動機能や脳機能、生活機能の更なる低下であり、介護度の悪化にも繋がってしまいます。

 

これは一般的にいうと生活不活発という状態であり、それに伴い全身のあらゆる器官が低下することを生活不活発病といいます。(下表)

 

東日本大震災においても、発災1 カ月後に仙台市の避難所で,そして2 カ月後に宮城県南三陸町で,生活不活発病による生活機能低下の発生が確認され、その後,7 カ月目に南三陸町で全町民の生活機能の実態把握を行い(回答者12,652名,回収率83.9%,高齢者では90.1%),その結果は,非要介護認定高齢者3,331人の4分の1 近く(23.9%)で歩行困難が出現し、回復しないままであったとされている。1)

 

生活不活発病の予防・改善は「生活を活発にすること」に尽きます。「社会参加が活発になればなるほど」「多くの生活動作を回数多く行うようになり」「自然に体や頭(心身機能)を使う機会が増える」のです。 生活を楽しみ、社会に参加して生きがいのある充実した生活を送ることで、自然とからだや頭を使っている状態をつくることが基本となります。

 

「コロナは怖い」その事実は間違いありませんが、その為に閉じこもっていては別の病の恐怖が近くに迫ってしまいます。コロナに負けない為にもしっかり体を動かして、活動的な生活を継続しましょう。

 

生活不活発病に関しての詳細は以下のページを参考にしてみてください。(厚労省)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000122331.pdf

 

1)災害時に多発する「生活不活発病」:その予防と回復における内科医の役割

大川 弥生(国立研究開発法人産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター)〔日内会誌 106:857~864,2017〕