▶リハビリ + 栄養!?|しっかり食べてしっかり運動

キーワード:運動、高齢者、低栄養、リハビリ栄養、リハビリ本舗

今年は猛暑でしたがだんだんと涼しくなって秋らしくなってきました。夏バテでお食事の量が少なくなったりする方も多かったと思いますが秋になり美味しいものも増えて食欲も増えてきました。今回は食欲の秋にちなんで運動と栄養についてお話したいと思います。

 

リハビリ栄養てなんだ?

リハ栄養とは

「患者の栄養状態も含めて国際生活機能分類(ICF)に基づき評価を行ったうえで障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限発揮出来るような栄養管理を行うこと」

といわれています。

簡単にいうと、運動と栄養管理を同時に行うことで筋力向上し、日常生活動作や生活の質が向上すると言うことです。

 

そもそもなぜ栄養が必要なのか

栄養状態が悪いまま運動(リハビリ)をするとかえって栄養状態が悪くなると言われており、そういった状態のことを「低栄養」といいます。

また筋肉の合成にはタンパク質だけではなくエネルギーが必要といわれていますが、それらが不足している状態でトレーニングを行うと筋肉を分解してタンパク質やエネルギーを得ようとするので筋肉量はかえって減少するといわれています。

 

では低栄養になる原因は?

  1. 飢餓
  2. 侵襲
  3. 悪質液

1つずつ見てみましょう。

1.飢餓(きが)

エネルギー摂取量がエネルギー消費量より少ない状 態が続くことによって低栄養が生じる。飢餓状態では 筋肉や脂肪を分解して活動に必要なエネルギーを得 ようとするため、体重や筋肉量は減少し低栄養となります。

 

2.侵襲(しんしゅう)

 手術、外傷、骨折、感染症、熱傷などが含まれ、急性の 炎症によって低栄養が生じる。侵襲は異化期と同化期 に分けられ、炎症所見(CRP)が3mg/dlを下回った場合を同化期 の目安として考えます。 侵襲時には創傷治癒などのためにエネルギー消費量 は増加する。異化期では筋肉や脂肪を分解して必要 なエネルギーを得ようとします。一方、この時期にエネ ルギーを投与しても筋肉の分解を抑制することはできないため、筋肉量は減少し低栄養となります。

3.悪質液(あくしつえき)

がん、COPD、慢性心不全、慢性腎不全、慢性肝不全、 膠原病など、慢性的な炎症によって低栄養が生じます。

  • 悪液質の原因となる慢性疾患の存在
  • 12ヶ月で5%以上の体重減少(もしくはBMI<20kg/m2 )
  • 上記に加え、以下の3つの項目を満たす

①筋力低下、②疲労、③食思不振 ④除脂肪指数低下(筋肉量低下) ⑤検査値異常 (CRP>0.5mg/dl、Hb<12.0g/dl、Alb<3.2g/dl)

 がん悪液質には、前悪液質、悪液質、不応性(難治性) 悪液質の3つのステージに分けられ、早期に診断して 介入することが重要であると言われています。

 

運動効果を高める栄養摂取のタイミングはいつなのか

1日3回の食事だけでは摂取できないものがあります。この場合、食間や眠前、リハの合間や前後に栄養剤を摂取するなどして、1日のトータルでエネルギー必要量を確保します。

特に、リハの合間や直後の栄養摂取は有用であると考えられており、筋肉の合成にはたんぱく質に加えエネルギーも必要となるため、運動の後、なるべく早く(30分以内に)たんぱく質と糖質を含んだ栄養剤を飲むことによって、筋力や持久力がより増加しリハ効果を高めることが期待されます。(主治医にご相談ください)

栄養剤の使用が困難な場合は運動直後に牛乳1杯(250ml)を飲んでもよいといわれています。

 

〇タンパク質摂取のタイミング

筋力を高めるのは筋力(筋たんぱく)を増やすことが重要であり、運動は筋たんぱくの合成を促進また運動直後にタンパク質を摂取することによって筋たんぱくの合成が増強する持久力を高めるためには、肝臓と筋肉のグリコーゲンの貯蔵量を増やすことが重要です。

 

〇糖分摂取のタイミング

持久力を高めるためには、肝臓と筋肉のグリコーゲンの貯蔵量を増やすことが重要であり運動中はグリコーゲンが消費するため運動直後に糖質を摂取することでグリコーゲンが早期に回復し貯蔵量も増加するといわれています。

 

たんぱく質と糖質を同時に摂取することによって、最も筋たんぱくの合成を促進することが報告されている

 

食事だけでは栄養が足りない場合

  • クリミール
  • へパスⅡ
  • エンジョイハイカロリーゼリー
  • エンジョイプロテイン

も推奨されています。

 

低栄養の評価について

身体測定

体重とBMIが重要であり、体重減少率も確認しましょう。

上腕周囲長や下腿周囲長は筋肉量の目安となり、栄養スクリーニング としても有用であるといわれています。

体重減少率

体重減少率(%)=(通常体重-現体重)÷通常体重×100  で求められます。

下記の体重減少が認められた場合、中等度以上の栄養障害の疑いと言われています。

 

上腕周囲長(腕の太さ)

上腕の中心部に印をつけて測定

【筋肉量低下の目安】   21cm以下

 

下腿周囲長(ふくらはぎの太さ)

ふくらはぎの一番太い所を測定する。

【筋肉量低下の目安】  30cm以下

 

このように簡易的に栄養状態の把握ができます。

リハビリを現在しているしていないに関わらず栄養状態が良くないと思う場合は、食事の見直しや栄養剤の使用も検討してください。

訪問リハビリやデイサービスを利用されている場合はリハビリのスタッフなどに気軽にご相談ください。