低血圧のお話

訪問看護師の担当です。今回は、日々のケアの中で出会う「あれこれ」について‥「低血圧について」お話します。

血圧の基準値は、正常値を最高血圧130㎜Hg、最低血圧85㎜Hgで、さらに適切な血圧値は120╱80が勧められています。低血圧症とは、長年100╱60以下と診断されていましたが、高血圧の基準値が下がったのに伴い、最近は90╱60を低血圧症とする傾向にあります。低血圧でも、特に異常を感じない方もおられ、その方のベースラインの血圧を考える必要があります。

低血圧症とは別に、高齢者では①起立性低血圧や②低血圧からショック(臓器への血液灌流不全→全身が必要としている血液を循環できなくなった状態)を起こす危険性はないか‥と、注意が必要です。

高齢者の①起立性低血圧で、寝たきりの方などが臥床から身体を起こしたとき一過性に血圧が下がってしまうことがあります。また、高齢者では食直後に、椅子から立ち上がると一過性に血圧が下がり、転倒されるといういう事もあります(副交感神経が優位になることによります)。そのほか、重症の肝疾患や貧血症でも、起立性低血圧を起こすことに注意が必要です。高齢者の皆さんは、動作の一つ一つを、ゆっくり、ゆっくり‥がいいですね。

私たち医療職が見極めなければいけない②低血圧からショックをきたすような状態は、すぐに治療が必要です。ショックの中には、 (1)循環血液量が減少する  (2)心臓のポンプ機能が異常をきたす  (3)肺から心臓に血液が還ってこなくなる  (4)末梢の血管の抵抗がなくなるの4つに分類されます。それぞれに治療方針が異なりますが、低血圧に伴い、意識の状態が低下している、皮膚が冷たく蒼白くじっとりしている、尿量が少ない、脈拍数が多い、などいつもと異なるの症状があれば、すぐに受診をしましょう。他にも、降圧剤や市販の風邪薬や坑ヒスタミン薬の多量服用などにより、ショックを起こすケースもありますので、注意をしましょう。

少し難しい話になりましたが‥、

これからの夏本場、一番おちいりやす「脱水・熱中症」も、身体の中の循環血液量が減った状態になり、重症になれば低血圧→ショックに至ります。高齢者の方は、軽い頭痛や身体のだるさから自覚されることが多いようです。夏本番に向けて、十分な栄養と水分補給で、低血圧を吹き飛ばしましょう!