『看護師〇〇年目の春』

春は、心が躍ります。

看護師として、初めて仕事に就いた21歳の春。

もう、数十年経っているのに、とても新鮮に思い出します。

皆さんはどんな春ですか?

 

看護師として、在宅医療、訪問看護に携わり、また巡ってきた春。

思い出すのは、たくさんの出逢った方々です。

 

「苦労を乗り越える力は?」の問いに「一切の欲を無に。」と。

「生きることは、人と繋がっているということ。」と教えてくださった〇〇さん。

 

買い物の話題の中で、「大根の値段を見て、いい値がついているときっと美味しい大根だと思うでしょ。大根の持つ姿や触れた感じなんかは、どうでも良くなったのね。ちょっと浅ましいね。」と笑って語られる△△さん。

 

新しいショッピングモールが開店したとニュースが報じれば、「物を持ったら次から次へ欲しくなる。罪ね。選ぶばかりで、つくる事がなくなったね。」と、モノの意味を教えてくださる□□さん。

 

記憶が曖昧になって、判断力が衰えて、思いや行動のつじつまが合わなくなっていく病と向き合いながら、「全てのことに、意味のないことは何一つないのよ。」と、優しく力強く語ってくださる◎◎さん。

 

支援学校に通う14歳の✩✩くんは、同級生が入院したことを案じ、言葉は発せないけれど、目を見開いて「どんな具合?」と。

 

 

今、2025年を目処に、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが出来るよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(「地域包括ケアシステム」)の構築が推し進められています。

このシステムという大きな流れの中で、私に出来ること。

少なくとも、スポット的に医療・介護を行う訪問看護師ではなく、

人との繋がりに感謝できる看護師でありたい、

モノ(ヒト)の持つ本来の姿や触れたその感じを、ゆっくりと感じれる看護師でありたい、

選ぶだけでなく、一緒につくることを楽しめる看護師でありたい、

どんな状況でも全てのことに、意味があることを共に探せる看護師でありたい、

言葉ではない言葉の意味を、心の目を開いて聴ける看護師でありたい、

私の出逢った方々が教えてくださった様々です。

 

春です。

初めて仕事に就いた21歳の春「看護とはアートです。一切の思いを看護という手の技に込めたアートです。」と習ったことを思い出しました。

出逢った沢山の方々に感謝し、初心に立ち返り、明日からまた頑張りたいと思います。

今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。