こんばんは。
前回、「廃用症候群を予防するためには、『低活動』と『臥床』、両方の影響を考慮する必要がある」と書かせていただきましたが、つまり、廃用症候群を予防するためには、『低活動』と『臥床』に対してのいくつかの運動プログラムを考える必要があります。それは、『低活動』に対しては、骨格筋に対する負荷、つまり自動運動を施行し、『臥床』に関しては立位負荷をかけることが重要となります。
筋収縮を極端に制限すると、週あたり10~ 15%程度筋力が低下するといわれていますが、最大筋力の20~ 30%の負荷で筋収縮を行えば筋力を維持することができ,それ以上で行えば筋力は増加すると言われています。また、20日間の臥床でも,下肢伸展運動を行えば筋量を維持できるとの報告もあります。起立性低血圧の予防としては、早い段階から座位や立位をとる事が重要であり、断続的に1日4時間の立位をとると起立耐性の低下を防ぐ事が出来るとも言われています。また、臥床が必要な状態で立位が困難であっても,出来る範囲で頭部を挙上させること(座位など)が必要と言われています。
上記、筋力や起立性低血圧は廃用症候群の一部ですが、このように、廃用症候群の予防・治療の為には、必要以上の安静をとることをさけ、状態にあわせて安全な局所及び全身の活動性維持・向上をはかる事が大切です(加齢、内部障害、肢体不自由、視覚障害など、低活動に至った原因を考える事も重要)。
廃用症候群による身体への影響は大きく、元の状態へ戻すためには、そこに陥った何倍もの時間や労力を要してしまいます。これまで3週にわたって廃用症候群についてお話しさせていただきましたが、『寝てばかりいると体が弱ってくる』とはどういった事なのか、少しでもお伝えする事が出来ましたでしょうか。なかなか日々運動を続けるという事は難しい事ですが、もし、廃用症候群に関して、ご心配な方もしくはご家族様がいらっしゃいましたら、主治医の先生や看護師、リハビリのスタッフ等に一度ご相談いただけたらと思います。