秋も一層深まり、朝夕冷え込むこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回から3週にわたって担当させていただきます、つるみです。
つい先日までは残暑も厳しく、気温の変化に身体がついていかないという方も少なくないのではないでしょうか。秋といえば、食欲、読書、運動など、趣味を楽しんだり、何かに打ち込む際には好い気候の季節とは言いますが、実際気候が生活に及ぼす影響は大きく、毎年、夏になれば脱水症などに注意するため、冬になれば寒さが応えるから(風邪やインフルエンザを予防するため)等、季節の影響で家に閉じこもってしまい、寝ている事が多くなるという話もよく耳にします。
そのような時、周囲の医療・介護職の方々やご家族様などに、『寝てばかりいると体が弱ってくる』等と言われ、体を動かすように勧められたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、実際医学的にも言われていることで、その『寝ている時間が多くなって(活動量が低下して)、体が弱る』ということを、正式な名称としては【廃用症候群】と言います。
今回はこの【廃用症候群】に注目し、どういったものなのか等、3週にわたってお話しさせていただきたいと思います。
廃用症候群とは安静臥床や低活動によって引き起こされる病的状態の総称と定義されており、筋力低下や筋萎縮、関節の拘縮、骨粗鬆症といった局所的なものから、心肺機能の低下、抑うつや認知症,起立性低血圧などの全身的なものまでさまざまな病態が含まれます。
《臥床、低活動によって引き起こされる廃用症候群の一例》
○筋力低下、筋萎縮、関節拘縮、骨粗鬆症などの運動器障害
○心肺機能低下、起立性低血圧、浮腫、血栓、褥瘡などの循環障害
○便秘、尿大便失禁などの自律神経障害
○仮性痴呆(認知)症,うつ,発動性低下などの精神活動低下
このように廃用症候群の症状は様々ですが、これらの症状が単独で存在する事はまれで、実際にはいくつかの症状が同時に存在しており、しかもそれらが相互に影響しあっていると考えられます。
日常生活内での寝ている時間が多くなるという程度では、上記に記載している症状の全てを認めるわけではないのですが、活動量が少なくなるとなんらかの形で負の影響を及ぼすことが考えられます。
次回は、この廃用症候群の症状についてもう少し詳しくご説明させて頂きたいと思います。それではまた来週。